【美山かたり】

vol.9

ほ、ほ、ほーたる来い! 

美山の最奥地・洞へ 幻想的なホタルの光を見に行こう!

「洞(ほら)では、毎年たくさんホタルが飛ぶらしいで!」そんな声を何人もの人から聞いた。洞は、福井県との県境の美山町豊郷にある、その名の通り緑と水の豊かなところだ。毎年6月には洞峠から流れ来る清流、西川にホタルが乱舞する。満点の星空のもと真っ暗な川面にその光りが映って揺れるさまは幻のような美しさだという。京都市内などでもホタルは見られるが、闇と静寂に包まれた山深い洞で見るホタルは、また一段と風雅な初夏の風物詩だ。

今年も、洞ではホタルのイベントが予定されていると聞き、さっそく、イベントの事務局・下田真徳さんを訪ねた。

 

洞でホタルを観るお薦めのポイントは?

「洞のホタル街道」と呼ばれる道は、川沿いの農道にスギとヒノキのチップを敷き詰めた住民手作りの遊歩道で、ここから見るのがベスト・ビューだ。ホタルの鑑賞イベントの期間は、集落内の外灯も消して、真っ暗闇になる。蛙の歌声が響きわたる暗闇の中で、ホタルの光はさらに美しく浮かび上がることだろう。見頃の時間帯は午後8時頃から10時頃。午後11時頃には、ホタルが一斉に山の方に帰っていくのを見た人がいるそうだ。今年、その瞬間に出会えたら、感動間違いない。

洞では、例年6月中旬がホタルの見ごろだが、今年は、桜の開花をはじめ、山菜の採りごろなど、いろいろな季節が少し早く進んでいるようなので、ホタルももう少し早まる可能性がある。

  • 鶴ケ岡で精力的に活動されている下田真徳さん

「見よ 洞ぼたる2018」今年のイベントは?

洞では毎年「見よ 洞ぼたる」という鑑賞イベントを開催、今年で4回目を迎える。2018年のオープニングイベントは、6月16日(土)午後8時から。闇の中に響くバイオンリンの音色を聴きながら、点いたり、消えたり、ほのかに揺れるホタルの光を楽しんでほしい。
鑑賞イベントに先立ち、午後6時から洞公民館の広場で「美山のテキ屋集団ごんせ」による屋台や、午後8時から「洞しゃくなげグループ」による特産品販売が予定されている。なお遊歩道は、16日(土)から29日(金)まで、毎日開放される。

洞は貴重なホタルスポット!

美山町内には他にもいくつかホタルが鑑賞できるスポットがあるが、台風の大水や災害などで、川の形が変わってしまいホタルが姿を消してしまったところもある。ホタルは自然の一部。美しい水、川のかたち、水の量、えさのカワニナなど、様々な条件がうまく重なってホタルが飛ぶ環境になる。ホタルの光はまさに自然からの贈りものなのだ。

ホタル街道、始まりは地域の人たちの夢物語から

今から5年ほど前、過疎化が進む洞では、「子どもたちに残ってもらうには」「都会に出た若者に戻ってきてもらうには」「みんなで、どんなことをしたら楽しいか」……などを話し合ってきた。そんな話の中に、「ホタルがぎょうさん飛んでとてもきれいやで。たくさんの人に、見てもらったらええなあ」の声があり、「西川のほとりからよく見える。」「農道をきれいにしたら、ホタルが見やすくなる。」「草が伸びないように木材チップを敷いたら?」などなど、次々と意見が出た。

そんな想いが集まって、「洞のホタル街道」が出来たのは2年前。川沿いのあぜ道に防草シートを敷き、その上に、スギとヒノキのチップを敷き詰めた。ふわふわの歩き心地、踏みしめるとサクサク音がして、木の香りが立つ。

遊歩道の整備は、地域在住の人だけでなく、今は都会に住む洞に所縁のある人たちも手伝ってくれた。週末に実家に戻り、近所の仲間と一緒に汗を流す。そんな地域づくりの情報発信に、「洞LINEグループ」があるという。作業のお願いだけでなく、ふるさとと繋がりをもっていただけるように、地域の楽しいイベントもお知らせをする。今年のホタル観賞イベントにも、懐かしい顔が揃うはずだ。

ホタルで知った地域の魅力
ホタル街道の整備を進めてきた洞(どう)志会(しかい)(会長 木村光一さん、会員数10名)の事務局 下田さんは、これらの取り組みを通じて嬉しいことがあるという。「他所からホタルを観に来てくださるのも嬉しいけど、洞の人が何度も見に来ておられることが何より嬉しい。家から歩いて数分、みんなでホタルを観ながら缶ビールなんて、なんとも贅沢な時間。満天の星空も見上げながら、自分たちが楽しんでいる。ホタルに楽しませてもらっている。ここでしか味わえない魅力だ」と話してくれた。地元の人同士が、同じものを見ながら顔を合わせ、声を掛け合うことが大事なんや……そんな思いがイベントの原動力になっている。

今後も続く洞のイベント!

ホタルイベントだけでなく、洞では、「滝ハイキングツアー」「鯖のなれ寿司講習会」「松茸ツアー」など、鶴ケ岡振興会と連携したイベントも計画中。これからも、洞から目が離せない。次のお知らせをお楽しみに!

文:美山ライター 下伊豆かおり